オイルレザーバッグについて
革本来の風合いを残したオイルレザーに拘る
天日干しに適した気候と豊富な水源に恵まれた、日本有数の皮革産地 兵庫県たつの市の播州レザーを使用しています。全国の約70%の革は播州(播磨)で作られており、中でも姫路市の知名度が高いですが、たつの市の革は生産量、品質、技術とも世界トップクラスと言われています。
現在販売中のレザーバッグに使用している素材(スムース系とシボ出しの2種類)は、ミモザの木の渋を主原料に、ケブラチョ等の渋を季節と気候に合わせて都度配合した鞣し剤を使い、長年培った秘伝の技術に本場イタリアのサンタクローチェで学んだ加脂技術を融合させた、匠のオイルレザーです。
オイルレザーとは
柔軟性や耐久性、耐水性を高める為に、通常より多量にオイルを含ませた革をオイルレザー(オイルドレザー)と言います。更に飽和するまでオイルを染み込ませて、揉んだり曲げると繊維内のオイルと染料が移動して、白く色ムラがでるものをプルアップレザーと呼びます(手で伸ばすと元に戻ります)。
一般的な革の様に、顔料や塗膜などで色落ちを防いだり表面のキズやシワを隠す処理をしていない為、動物たちの生きた証が革の表情となって表れ、天然皮革らしさが味わえる素材です。
使っていくと深層のオイルがゆっくりと染み出して、後からついた傷も自然に馴染んで行き、色が濃くなったり艶が増すなどの経年変化(エージング)も楽しめます。
動物達の生きた証「天然の表情」とは?
品質に影響無い範囲で、動物たちの「生きていた証」が含まれています。2つと同じ物が存在しない、天然素材ならではの味わいとご理解いただけると幸いです。
トラ
オイルレザーなど素上げ革でよく見られる代表的な表情です。
牛の首から肩にかけてひだになっている皮のダブりが、鞣す際に筋のような跡になり、全体の着色よりも薄い色に染まる事で、縦に何本も並行して走る長いシワ模様や色ムラになって表れます。
品質的には問題無く、ナチュラルな天然皮革でしか見られない少しワイルドで個性的な表情として親しまれています。
シボ
立体的な皺(シワ)模様をシボと言い、独特な見た目と触り心地で人気があります。
型押しで人工的に模様を付ける方法もありますが、オイルレザーなどの素上げ革では、「空打ち」または「シュリンク」と呼ばれる2通りの方法で自然なシワを出します。cavanではスムースなオイルレザーにアイロンを掛けて表面を固くして、太鼓に入れてグルグル回す「空打ち」でシボ出しした革を使用しています。部位よってシボの形状はさまざまで、個性的な表情が魅力です。
バラキズ
外飼されていた動物は、柵や植物の棘、動物同士のケンカなど傷はつきものです。このような傷が革になっても残ったものがバラキズです。
その動物が生きた勲章でもあり、天然皮革ならではの表情となります。
ピンホール
毛穴や毛根の痕が微小な穴のように残ったものをピンホールと言います。
顔料などで表面処理された革ではほとんど見られませんが、オイルレザーの様な素上げ革ではしばしば残る天然の表情です。
その他の「革の表情」
シワ | 脇の下や腹などの屈曲部に見られる元々あった皺や、製作過程で付いてしまう皺。 |
チスジ | 皮膚の下を通っていた血管の痕。 |
色ムラ | 革の繊維の密度によって染めの濃淡や陰影が起こる事。 |
クラック | 製作過程でひび割れが生じて、表面に縞模様がでる場合があります。 |
cavanのオイルレザーバッグ
上質なオイルレザーをつなぎめ無しの一枚革で贅沢に使って、日本の鞄職人が手仕事で仕立てています。
現在使用している素材はいずれもステアハイドの国産原皮(じなま)を使ったプルアップレザーです。
たっぷりオイルを含んでいるので、オイルメンテナンスは基本的には必要ありませんが、長期間使用しないで放置すると、うっすら染み出したオイルに埃が付着する事があるかもしれません。そんな時はきつく絞った布巾で拭いてあげて下さい。
できるだけ定期的に使って手で触れる事が一番のメンテナンスかもしれません。
撥水性について
スムース系プルアップレザー「アルト」の撥水性を簡易的に確認しました
濡れて30分後に水が浸みはじめて、拭取った直後は染みが残りましたが、15分ほど自然乾燥させると染みは消えました。革の部位によって異なりますので、濡れたらできるだけ早めに拭き取って頂く事をお薦めします。
シュリンク系プルアップレザー「デールシュリンク」撥水性も簡易的に確認
濡れて30分経過しても染みは残りませんでした。使用する部位によっては染みが見られる可能性もありますので、濡れたら早めに拭き取って頂くのがベストです。
もしもずぶ濡れになってしまった場合のお手入れ方法
革のプロに対処方法を教えて頂きました
オイルを飽和するまで含ませたプルアップレザーを使用している為、撥水力は高いですが、土砂降りなどで完全に水が浸み込んでしまった場合は、以下の方法を試してみてください。
1. 敢えて全体を水で濡らす
2. オイルを塗る
3. 形を整えて陰干しで乾燥
4. 乾いたら余分な脂を拭き取る
オイルは本当ならミンクやホース、ニーフットなどの動物性の油脂を溶かして塗るのが良いのですが、一般家庭にあるオリーブオイルで十分対応可能。1番絞りのエクストラバージンは香りが強くて油分の比重が重めなので、セカンドバージン(2番絞り以降)やグレープシードオイル(ブドウの種から取る油)がオススメとの事です。
革の製造工程の一部をご紹介
水漬け・脱毛・石灰漬け
皮に付着している血液や汚れを取り除き、水分を補い生皮の状態へ戻します。
石灰乳のアルカリにより皮のコラーゲン繊維をほぐす役目があり、柔軟性を得るポイントにもなります。
裏打ち
裏打ち機(フレッシングマシン)で皮に付着している肉片や脂肪を取り除きます。
再石灰漬け・脱灰・酵解・浸酸/中和・染色・加脂
再石灰漬け~浸酸
裸皮を強アルカリからpH8付近に中和。更に酸性溶液に浸して鞣し剤の吸収に適した状態にします。
↓
<別の装置で鞣し・水絞り・シェービング>
↓
中和・染色・加脂
酸性になった革をアルカリで中和した後に、染料や加脂剤を浸透させます。
乾燥
着色させた染料や加脂剤を固着させるために自然乾燥で少しずつ乾燥させます。
この乾燥が、革の感触に関わる重要な工程となります。
Pickup items
- ジップトップショルダーバッグ
- 鞣し工程で空打ちして個性的なシボを出した「デールシュリンク」を使ったショルダーバッグです。<div>シボによってキズが目立ち難く天然の表情は控えめになりますが、個体差や部位によって異なる皮の繊維の状態がシボの形状に反映され、同じ物が二つと存在しない1点ものと言っても良い個性的なバッグに仕上がります。</div><div><br></div><div>商品詳細ページはこちら☟</div><div><a href="https://cavan-bag.com/shop/1953">本革シップトップショルダー</a></div><div><br></div>
- カバードトート
- <div>染料とオイルで仕上げ、動物たちの生きた証「天然の表情」を残した、最も天然素材らしさを感じられるスムースなオイルレザー「アルト」 で仕立てました。</div><div>比較的キズが付きやすい素材ですが、エージングと共に馴染んで行き自分だけのバッグに育って行きます。</div><div><br></div><div>商品詳細ページはこちら☟</div><div><a href="https://cavan-bag.com/shop/1729">本革カバードトート(ネイビー)</a></div><div><br></div>