豆知識
素材や部品、加工方法に関する補足情報集です。
オイルレザー/プルアップレザー
柔軟性や耐久性、耐水性を高める為に、通常より多量にオイルを含ませた革をオイルレザー(オイルドレザー)と言います。更に飽和するまでオイルを染み込ませて、揉んだり曲げると繊維内のオイルと染料が移動して、白く色ムラがでるものをプルアップレザーと呼びます(手で伸ばすと元に戻ります)。
一般的な革の様に、顔料や塗膜などで色落ちを防いだり表面のキズやシワを隠す処理をしていない為、動物たちの生きた証が革の表情となって表れ、天然皮革らしさが味わえる素材です。
使っていくと深層のオイルがゆっくりと染み出して、後からついた傷も自然に馴染んで行き、色が濃くなったり艶が増すなどの経年変化(エージング)も楽しめます。
※商品のこだわり > オイルレザーバッグについて にも記載しています 。
シボ
立体的な皺模様をシボと言います。
シボの付け方は、鞣し工程で薬液を加えて革の表面を「シュリンク(収縮)」させる方法と、タイコと呼ばれる木製の巨大な樽を回転させる装置に革を入れて「空打ち」する方法があります。
cavanで使用するシボ出し革は、スムースなオイルレザーにアイロンを掛けて、表面を固くしてからタイコに入れて空打ちする方法で加工されたものです。
「シュリンク」は革を縮ませるので締まった感じになるのに対して、「空打ち」は革の繊維をほぐすことでしなやかで柔らかな風合いとなり、部位によってシボの出方はさまざまで、自然で個性的な表情が魅力です。
鞣し
皮(skin/hide)を革(Leather)に加工する工程を言います。
原皮の状態では、いずれ腐敗したり乾燥してバリバリに硬くなる為、樹液や種々な薬品(なめし剤)
を使って皮のコラーゲンを反応させ、繊維組織を結合させる事で、強くてしなやかな素材に加工します。
鞣す手法は、タンニン鞣し、クロム鞣し、コンビ鞣しの、大きく分けて3種類あります。
タンニン鞣し革
天然の植物から抽出したタンニン(渋)成分を使って鞣す古代から受け継がれている手法で、手間と時間が掛かり生産効率は良くないですが、伸縮性が小さく堅牢で摩耗に強く、自然な仕上がりになるのが特徴です。
使い込むほどに色艶や風合いが増していく、所謂エージングが楽しめる素材です。
クロム鞣し
昭和のはじめにクロム鞣し技術が広まり、タンニン鞣しに比べて圧倒的に短時間で加工でき、廉価で大量生産に向いている事から、現在では約8割がクロム鞣し革と言われています。
鞣し剤に塩基性硫酸クロムを使う方法で、柔軟性があり伸縮性が大きく、耐熱性が約110℃と高いのが特徴(タンニン鞣し革は80~90℃)。また鞣し剤の結合量が少ない為、比較的軽量である反面吸湿性が大きく、鼻にツンとくる化学物質的な匂いが気になるかもしれません。
コンビ鞣し
タンニン鞣しとクロム鞣しを組み合わせて、それぞれの良いところを取り入れた手法。
コバ/コバ仕上げ
コバは漢字で書くと「木端」。木ではないですが...革の切れ端(裁断面)の事です。
革を切りっぱなしで使うとナチュラルな風合いになり、帆布バッグの革の持ち手は敢えて切り目のまま使っています(加工費も抑えられます)。断面は通常白っぽい下地の色になりますので、表面の色との相性や全体的な雰囲気に合わない場合があり、品質的には断面の毛羽立ちが気になるかもしれません。
レザートートの持ち手やラウンドファスナー長財布では、ナチュラルな風合いの中に高級感を持たせる為に「コバ塗り」で仕上げています。コバ面を綺麗に磨いて、色付きのニスの様なコーティング剤を塗り、希望の仕上がりになるまで重ね塗りして仕上げます。
コバの処理方法としてもう一つ、端を薄くして折り返す「ヘリ返し」という加工方法もあり、レザートートのトップの部分や、ラウンドファスナー長財布の内装革で使用しています。
好みや加工上の都合も考慮して、切りっぱなし(切り目)、コバ塗、ヘリ返しを選択しています。
芯通し/芯通し革
染料を革の芯まで浸透させる事を芯通しと言います。芯通ししていない通常の革は、コバ(木端=革の端もしくは裁断面) が下地の色のままで白っぽく見えます。ラウンドファスナー長財布(ブラック)の内装革は、縫い穴が白く目立つ事を防ぐために、芯通し革を使っています。
芯通し用の染料は、一般的に表面を染色する物とは異なり、また乾燥時間が相対的に増える為、工数が嵩んでコストは高めになります。
ステアハイド
生後3~6か月の間に去勢された2歳以上の牡牛の皮。
最もよく使われている原皮です。
成牛や馬など、皮の重量が25ポンド(約11kg)以上の大動物の皮をハイドと言い、それ未満の子牛や小動物の皮をスキンと呼ばれます。
キップスキン
生後6か月から2歳までの、子牛(カーフ)と成牛の間の中牛皮。
きめ細かくて柔らかく、カーフスキンより強度と厚みがあり、財布などの高級小物に使われます。
地生(じなま)
原皮の大半は海外から塩漬した状態で輸入されていますが、少数ながら国産の原皮もあり、地生(じなま)と言われています。どちらがどうなのかは、牛の種類や個体差による部分が大きく、一概には言えないと思います。
ドイツホック
第二次世界大戦中にポルシェ博士によって開発され、メルセデスベンツやポルシェのカブリオレの幌の留め具として使われている、耐久性の高い留め具。ドイツ製です。
つまみを引っ張ると外れます。留める時は軽く押し込んでください。少々個体差があり、留め具合に若干クセがでる可能性ありますが、これも味わいとして楽しんでいただけると幸いです。
Dカン
アルファベットのDの形をした金具。
キーホルダーやストラップなどをぶら下げる為に内装で使用したり、2wayバッグなどでショルダーストラップを取り付けるのに使っています。
角カン(カクカン)
四角いドーナツ状の金具で、ベルトを繋いだり、ベルトのおさえ(サルカン)などに使われます。
ナスカン
茄子の様な形をした金具で、フックと回転カンの組み合わせで出来ています。フックの形状(構造)を大きく分けると、レバーナスカン、鉄砲ナスカン、網ナスカン の3種類あり、cavanでは網ナスカンに属する構造でしっかりした形のものを使っています。
コキカン
ショルダーストラップの長さ調節に使う金具で、一本線送り、移動コキカンなどとも言われ、角カンに移動できる線状の金具が一本付いた構造。
パラフィン
パラフィン(paraffin)は炭化水素化合物(有機化合物)の一種で、日本語では石蝋(せきろう)と言われるロウソクやクレヨンの原材料にも使われる素材です。
cavanの帆布バッグで使われている生地は、固形のパラフィンを熱で溶かして生地に染み込ませて加工されたパラフィン帆布。蝋引き帆布とも言われています。
固形パラフィン(パラフィンワックス)は常温では半透明な白っぽい色で柔らかいロウ状。水に溶けないので防水効果があり、常温で個体に戻るので、生地に芯を貼ったような張り感を与えてくれます。